こんにちは!
今回は戸塚隆将さん著の「世界で活躍する日本人エリートのシンプル英語勉強法」をご紹介します。
目指すべき姿
まず、著者が最も強調している点は日本人の目指すべき姿です。
著者は一貫してシンプルで伝わる英語が話せるようになることが目指すべきゴールだと主張しています。
一般的に日本では「英語がペラペラ」かそうでないかに2分割してしまう傾向があります。
そしてペラペラを目指すあまり、多くの人は途中で心が折れて諦めてしまいます。
実際、ほとんどの人にとって必要なのはペラペラ話すことではなく、相手のメッセージをしっかり受け取り、自分のメッセージを伝えることのはずです。僕はこの部分に大いに賛成です。
リスニングは相手に合わせ、スピーキングは自分のペースで
この本の中で、「確かにその通り!」と思った点はここにあります。
それはリスニングの重要性です。
コミュニケーションにおいてはスピーキングが重要で、とにかく話す練習をしなければいけないと考える人はとても多いと思います。実際スピーキングは大事です。しかし、実際のコミュニケーションでスピーキングよりも大切なのは相手のメッセージを受け取るためのリスニングスキルです。
相手のメッセージを理解できなければコミュニケーションは成立しません。
さらに今の時代、英語でコミュニケーションするという場合、英語のネイティブスピーカーよりも我々と同様に英語を学んでいる非ネイティブの人とコミュニケーションをする機会の方が多くなっていきます。
つまりネイティブスピーカーの話す聞き取りやすい英語だけでなく、多少アクセントのある英語を聞き取れなくてはいけなくなってくるということです。
そして反対に自分が話すときはゆっくり、大きな声で、はっきりと話すことの重要性を説いています。
確かに、相手に合わせて自分も早く話そうとする必要はありません。大切なのはメッセージを伝えることですからね。
発音は大人になってからでも習得できる
この本の中盤あたりでは、発音の重要性とそのトレーニングの方法が紹介されています。
中でも、個人的に強く賛同したのは「発音は何歳になってからでも劇的に改善できる」という点です。
僕がこれに強く賛同するのには理由があります。
僕は子供の頃(3〜7歳の間)アメリカに住んでいました。現在は英語を教えていますし、発音が綺麗だと周りの先生からも言っていただいたこともあります。これは僕が小さい頃にアメリカにいたからだと大抵の人は考えるでしょう。
しかし、実際のところ僕の英語の発音は中学〜大学3年生頃まで人並みだったと思います。
僕が真剣に発音のトレーニングに取り組んだのは大学生の時に出会った「音声学」と「英語音声学」の授業がきっかけでした。
そこでIPA(国際音声記号)を体系的に学びました。
IPAを学ぶとともに、トレーニングを重ね、今の発音を手に入れました。この知識はもちろん英語以外の言語の発音を学ぶのにも大いに役立っています。
それでは話を一度、今回紹介している書籍にもどします。
僕はある意味大人になってから発音を体系的に学び、発音を良くしました。自身の経験からも言って、著者が主張しているように発音は大人になってからでも十分習得可能です。
しかし、著者も言っていますが、子どものようにただ聞いて真似していれば習得できるというものではありません。大人には大人の得意な方法があります。それがIPAなどを使用して、体系的に学ぶという方法です。
一つ一つの音をどうやって発音するのかどんな音なのかを頭で理解するのです。
IPAに関しては以前記事を書いているので、よろしければご覧ください。
マインドセット
僕がこの本で良いなと思った点は他にもあります。
それは英語を学んだり、実際に使用するときのマインドセットの持ち方です。
まずシンプルに話すという点。
無駄に口数を多くしたり、難しい単語を使う必要はありません。
シンプルに伝えたいことをしっかり伝える。
そのためには自分の立場、言いたいことを明確にする。簡単な単語を使う。そして英語うんぬんよりも大きな声ではっきり、ゆっくりと話す。このことは英語に限らずコミュニケーションにおいて大切なことですね。
おわりに
今回は戸塚隆将さん著の「世界で活躍する日本人エリートのシンプル英語勉強法」をご紹介させていただきました。
まず日本人として英語を学ぶマインドセット、それから具体的な学習方法もまとまっており、外国語(英語)学習者としては大変参考になる本だと思いました。
ご自身の経験だけではなく日本人SLA研究者の白井恭弘先生なども参考にされており、非常に説得力があります。
今回紹介せていただいた内容はほんの一部にすぎません。外国語を学んでいる方なら参考になる部分も多いと思います。一読の価値ありです。
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