こんにちは!
先日、第二言語語彙習得の権威であるPaul Nation氏の講演に参加してきました。
今回はその講演の内容と第二言語語彙習得の研究に基づき、最も効果的な語彙(単語)の学習方法についてご紹介します!
語彙学習に重要な2つのポイント
語彙学習において重要なポイントは以下の2つです。
1.反復
2.学習のタイプ
それだけ?と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、この2つのポイントをしっかりおさえることで効果的・効率的に語彙を習得できます。
反復(復習)
反復の重要性は皆さんご存知だと思います。わかってはいるけど・・・。という方も多いのではないでしょうか?
単語(語彙)を覚えたいと思ったら、とにかく反復です。
研究によって「どのくらい反復したら覚えられるのか」という質問に対する答えは様々ですが、”何回”というのはあまり重要でないと僕は思います。とにかく覚えられるまでです(笑)。
反復を増やす方法はいくつかあります。
まず、たくさんのインプット(英語・外国語)に触れることです。単純に英語・外国語に触れる量が多くなればなるほど、覚えたい単語に触れる機会も増えますよね。
だからと言って教材をテキトーに選んでいいわけではありません。Paul Nationがおすすめしていたのは vocabulary-controlled の教材です。これは学習者用に限られた語彙のみを用いた教材です。Graded Readersなどがこれにあたります。VOAのLearning EnglishやBBCの6 minites Englishも限られた語彙に調整されているはずなので、vocabulary-controlledの教材と言って良いと思います。
こういった教材は一見「学習者用にただ簡単にしたもの」に見えるかもしれませんが、実はかなり理にかなっています。
語彙数が限られているということは、同じ単語を反復して使用せざるを得なくなります。
そのため、学習者としては同じ単語に何度も触れることになるので、覚える可能性がぐんと上がります。
もう一つ反復を増やす方法をご紹介します。
それは僕のお気に入りの方法なのですが、deliberate learning(意図的学習)です。
かっこよく言いましたが、簡単に言って、単語カードを用いた学習です。
「なーんだ単語カードかよ」って思った方、がっかりしないでください。
実は単語カードを用いた語彙学習は第二言語語彙習得の分野だと多くの研究で「効率的に単語を習得できた」という結果が出ています。
それにもかかわらず、多くの人が単語カードがあまり好きでなかったり、結果を得られないと思っているのは結局のところ、今回のポイントである反復が圧倒的に足りなかったのだと思います。
単語カードというのは作って満足してしまう部分がありますよね。すごくわかります。特に紙のものだとものすごい時間がかかりますし、作るだけで疲れてしまいます。
他の記事でも紹介していますが、今はオンラインで簡単に単語カードを作れます。ぜひ試して見てください。
大事なのはとにかく反復することです。
学習のタイプ
語彙の学習は大きく分けて4つのタイプに分けられます。
1.偶然ー受容タイプ
2.偶然ー産出タイプ
3.意図的ー受容タイプ
4.意図的ー産出タイプ
まず、その学習が偶然なのか意図的なのか、そして受容(外国語を見たり聞いたりして意味を思い出す)なのか産出(自ら外国語を書いたり言ったりする)なのかで区別します。
例えば、偶然ー受容タイプの場合、英語の本を読んでいて英単語の意味を思い出すのがこれに当たります。その単語に出くわしたのは偶然であり、意味を思い出す(受容)ためです。
なんとなくおわかりいただけたでしょうか?
他のタイプの例も簡単にご紹介します。
2の偶然ー産出タイプの場合、誰かと英語で会話をしていて「重要な」と言おうと思い”important”と言う(産出)のがこれに当たります。「ただ言いたい単語を言うだけで学習と言えるの?」と思うかもしれませんが、ここでは「思い出す」行為が学習ということになります。「思い出す」機会が多ければ多いほど、記憶が強固なものになります。
3の意図的ー受容タイプは、例えばスペイン語を単語カード勉強していて”playa”を見て「ビーチ」と思い出す学習です。
ちなみに単語カードは常に「意図的学習」にあたります。
もうお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、単語カードで日本語→外国語の方向で学習すれば、4の意図的ー産出タイプの学習になります。
今回の講演で、Paul Nation氏は”Deliberate always wins but incidental is also important.“のようなことを言っていました。
つまり、「意図的学習」が常に効率的ではあるが「偶然的学習」も重要であるということです。
語彙学習において、同じ単語に違ったコンテクストで出会うことも重要だと言われています。その点を伝えたかったのかなと思います。
「意図的学習」は自分でコントロールできますが、「偶然的学習」の方はコントロールが難しいです。「偶然的学習」機会を増やすためにはやはり、たくさんのインプット、外国語に触れる機会を持つことが重要です。
学習のタイプはどれが良くてどれが悪いというものではありません。
自分が行っている学習がどのタイプなのか把握しておき、偏りが出ないようにバランスを取ることが大切です。
まとめ
今回は効果的な語彙学習方法をご紹介しました!
いかがでしたでしょうか?
今後の語彙学習にぜひ役立ててください!
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